イベント
旧閑谷学校の「閑谷論語塾」誰でも参加可能!国宝の講堂で
学ぶ論語の教え(備前市)
2026.05.25
岡山県備前市にある「旧閑谷学校」では、年間を通して多彩な行事やイベントが実施されています。そのなかで毎月1回、第3日曜日(2026年度)に開催される「閑谷論語塾」は、普段は立ち入ることができない国宝の講堂で論語を学ぶことができる貴重な機会です。近世にかけて多くの人材を輩出した歴史ある学舎(まなびや)で、現代社会にも通じる論語の教えを学んできました。早速レポートします。
ライター:toru.
掲載日:2026年5月8日
旧閑谷学校と論語について
旧閑谷学校 講堂(国宝)
「旧閑谷学校」は、1670年に岡山藩主の池田光政(いけだ みつまさ)によって開設された「現存する世界最古の庶民のための公立学校」です。開校以来、現在に至るまで論語はその教育の中心を担ってきました。
大原美術館やクラレを創設したことで知られる大原孫三郎も、閑谷学校で学んだ生徒の一人です
学校を開くにあたり、池田光政は「地方のリーダーを養成するには庶民の教育も不可欠」と考えていました。開設以来、その思いを受けた庶民の子弟が論語の学びを通じて知徳を身に付け、新しい時代を切り拓こうと奮起したのです。
一対の楷の木に囲まれた聖廟(孔子廟)
旧閑谷学校は、日本遺産第一号「近世日本の教育遺産群ー学ぶ心・礼節の本源ー」の構成文化財です
また、論語の祖である孔子を祀る伝統も色濃く残っています。
敷地内にある聖廟(孔子廟)にて毎年10月に開催される釈菜(せきさい)は、 孔子の遺徳をたたえる代表的な行事です。本行事は、開校まもない1686年に始まり、現在も続けられており、当日は孔子像の公開や漢詩の朗誦なども行われます。
これらの伝統が認められ、2015年に日本遺産第一号「近世日本の教育遺産群─学ぶ心・礼節の本源─」の構成文化財として、足利学校(栃木県足利市)、咸宜園(かんぎえん)(大分県日田市)、弘道館(茨城県水戸市)とともに指定されました。
論語の小径
論語の小径の案内板
岡山県青少年教育センター閑谷学校
論語の小径についての解説
道中左手にある「津田永忠居宅跡」
現代においても当てはまるフレーズの数々
初夏は新緑が美しいです
新緑のもみじが映える茶室「黄葉亭」
津田永忠の功績をまとめたパンフレットも作成されています
「旧閑谷学校」の伝統を継ぐ研修施設「岡山県青少年教育センター 閑谷学校」から黄葉亭までの川沿いは「論語の小径」として整備されていて、現代社会にも通ずる論語の一節が説明文とともに多数紹介されています。
初夏は新緑、秋は紅葉が美しい散歩道。道中には閑谷学校の整備や百間川(岡山市)の治水工事など、さまざまな公共事業に尽力した光政の家臣、津田永忠(つだ ながただ)の宅跡もあります。
閑谷論語塾について
空きがあれば当日飛び込みでの参加も可能です
テキストとして使用する「閑谷学校 あいうえお論語」
受付にて販売されているしおり「松柏」。論語の一節から名付けられました
旧閑谷学校では、国宝の講堂内で論語を学ぶ「閑谷論語塾」を定期的に開催しています(2026年度は、毎月第3日曜日の13:30~14:30に開催)。
2026年度は『閑谷学校 あいうえお論語』(史跡受付(入場券売場)にて1冊300円で販売)を読破すべく、第1回と最終回以外は、「あ」で始まる章句から順に毎回4章句ずつを扱います。
実際の講義では、講師の後に続いて声を出す「斉読」などを通じ、論語の章句を分かりやすい表現で学びます。
各回の開催概要については、以下の表を参照ください。
空きがあれば当日飛び込み参加も可能ですが、予約フォーム事前予約をおすすめします。
【閑谷論語塾】
場所:特別史跡旧閑谷学校(講堂)
時間:13:30~14:30(第3日曜日)
参加費:650円(史跡入場料を含む)
持ち物:重ね履き用靴下(床面保護のため必須)
実際に参加してみました
閑谷論語塾のようす
円座を必要数持っていきます
円座は複数枚使用可能です
講師の國友道一先生
初回はテキストとして、別刷のプリントを使用しました
筆者は2026年4月19日に開催された令和8年度(2026年度)第1回閑谷論語塾、イントロダクション「閑谷学校と論語」に参加しました。講師の國友道一先生より、教育の本質や人間の在り方を説く8つの代表的な論語が紹介されました。以下に一部を挙げます。
はじめに「教育の意義」を説いた一説が紹介されました。
「子曰く、質 文に勝てば則ち野。文 質に勝てば史。文質彬彬として、然る後に君子。」
意訳すると、生まれ持った素質(質)と教育による教養(文)のバランスが重要であり、その調和が取れているのが立派な人であるという意味です。
熟達のプロセスについて説いた一説も紹介されました。
「子曰く、之れを知る者は之れを好む者に如かず。之れを好む者は之れを楽しむものに如かず。」
対象を「知る」ことで「好む」ようになり、さらにはそれを「楽しむ」という、精神的な高まりの段階が示されました。
そのほかにも、変化の激しい時代を生きる現代人に向けた一説なども紹介され、論語の持つメッセージは時代を経ても普遍的であることを改めて認識しました。
なお、次回(2026年5月)以降は、テキスト『閑谷学校 あいうえお論語』をもとに講義が進められます。
閑谷論語塾の同日に開催されているイベント
芝生広場で開催される閑谷マルシェ
マルシェの会場案内とともに「閑谷論語塾」の案内もありました
キッチンカーも集まっています
芝生広場より校門越しに聖廟(孔子廟)を撮影
2026年度は、閑谷論語塾と同じ日(第3日曜日)に「旧閑谷学校前」の芝生広場にて「閑谷マルシェ」が開催されています。備前市を中心とした東備地域、兵庫県西部の西播地域の特産品やキッチンカーが集まるマルシェイベントです。
また、同日(第3日曜日)の早朝(8:00〜)は、坐禅入門(3日前までに要申込・参加費:1,050円)も開催されています。こちらも静寂につつまれた国宝の講堂で坐禅を体験できる貴重な機会です。
旧閑谷学校で毎月開催「閑谷マルシェ」!東備・西播地域のいいものがいっぱい|おか旅
おわりに
岡山県民である筆者にとっての閑谷学校は、学生の頃に隣接の「岡山県青少年教育センター 閑谷学校」で宿泊研修をおこない、講堂学習では論語を学んだ思い出のある場所です。そのときは特に意識することはなかったですが、江戸時代から現代に至るまで教育研修機関として現存していることに、改めて深い感銘を受けました。
世界に誇れる歴史的な教育遺産で、現代の生活にも通じる論語の知恵を、初心者にも親しみやすく学べる「閑谷論語塾」。1回だけの参加ももちろん可能です。四季折々に美しい景色が楽しめる講堂で、先人の知恵にふれてみませんか。
この記事を書いたライター
toru.
倉敷市出身・在住の、ものづくりに携わるアラフォー会社員で2児の父。
今まで進学や転勤で他県に住んだことや、趣味の旅行で日本列島津々浦々を旅する中で、改めて岡山の良さを再認識しました。
外からの(旅人)視点と中からの(住民)視点、双方の視点で岡山の魅力を伝えていければと思っています。