リーダーシップ
管理職に伝えたい「ありがとう」の意味/朝礼訓話
2026.06.22
【ポイント】
- 管理職になると褒められる機会が減るが、それは求められるレベルが上がった証拠
- 管理職の仕事は、部下を成長させ、組織として成果を上げること
- 部下がやるべき仕事を管理職がやるのは、部下の成長の機会を奪うことになる
先日、経営者が集まる勉強会に参加したときのことです。テーマは、「頼れる管理職を育成するにはどうすればよいか」というものでした。さまざまな事例や意見が出ましたが、私が印象に残っているのは、ある経営者の「管理職に対しては、どんなささいなことでも感謝の気持ちを伝えているし、皆の前で褒めるようにしている。そうすると管理職は喜んでくれるし、やる気にもなるものだ」という言葉です。
正直に言えば、私はこの話に共感することができませんでした。もちろん、私は日ごろ、管理職を含め、皆さん一人ひとりに感謝をしています。しかし、管理職に対してささいなことで感謝を伝えたり褒めたりするのは、内容にもよりますが、「逆に管理職を過小評価していることになる」と私は考えています。私が皆さんに「ありがとう」と伝えるのは、その人にとって困難なことにチャレンジしてくれたときや面倒なことをやってくれたとき、そして期待するレベルを超えてくれたときです。
皆さんの中には、「管理職になってから、感謝されたり褒められたりしなくなった」と感じている人がいるかもしれません。気持ちが沈んだり、モヤモヤしたりするのは分かります。ただ、それはむしろ、皆さんがそれだけ難しい仕事を任されるようになった証だと、私は思っています。そして、もう一つ大切な理由は、管理職である皆さん自身が、部下に対して感謝を伝え、褒めるという立場に立ったからなのです。管理職が考えるべきなのは、自分が「ありがとう」と言ってもらえるかどうかではありません。部下に「ありがとう」をしっかり伝えること、そして部下が私や管理職から「ありがとう」と言われる機会をつくり、増やすことです。
管理職の仕事は、実際に自分が手を動かすことではありません。部下に手を動かしてもらい、部下を成長させ、組織として成果を上げることです。もし、部下がやるべき仕事を管理職がやっているなら、それは部下の成長する機会を奪っていると認識してください。皆さんの部下が、たくさんの人から「ありがとう」と言われるようになったときこそ、私は皆さんに心から伝えます。「育ててくれてありがとう」と。
以上