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「全てにおいて価格が上昇するのではないか」…小売り各社
が中東情勢警戒、原燃料高対策に先手

2026.05.22


 米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切ってから約1カ月半たった。原油先物価格は高止まりの状況で、ガソリン価格や資材調達への影響が懸念される。日本国内の小売業に与える影響はまだ顕在化していないが、小売り各社は商品のコスト低減や安定供給に向け、サプライチェーン(供給網)や包材の見直しも視野に対策を練っている。(編集委員・江上佑美子)

 「我々はさまざまな工程でエネルギーを使っており、全てにおいて価格が上昇するのではないかとの懸念はある。今からあらゆる事態を想定して手を打つ」。中東情勢の緊迫化に関連し、ファミリーマートの小谷建夫社長はこう強調する。

 「ガソリン代や軽油代はストレートに影響を受ける。店舗の電気代も心配だ。弁当箱やフィルムなどの包材も直接的に影響を受ける可能性がある。包材の集約化やコストダウンのための協議で、何とかコストを抑えていきたい」と思案する。

 イオンの吉田昭夫社長は「電気代への反映がコストとして重く出る。省エネ投資などを前倒しにしてリカバリーする計画を始めた。3―4月に燃料費が上がった分が5―7月に反映されることは織り込んでいる」と語る。

 傘下のイオンモールは25年夏に環境省などと組んで自宅の冷房を消してイオンモールで過ごす“クールシェア”を提案、入館者増に結びつけた。吉田社長は「我々はオポチュニティー(機会)を見出さないといけない。電気代が上がれば(消費者は)『自宅のエアコンをつける時間を短くしたい』と考えるだろう。イオンモールの機能をアピールし、滞在環境を整えるなど、商売につなげる設計をしなくてはいけない。そこはプラス面もある」ととらえる。

 セブン―イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長も「電気代の影響が大きい。容器については、まず安定供給を取引先にお願いしている」と説明する。

サプライチェーン全体でのコスト低減を検討(セブン-イレブン)

 三菱ケミカル東洋紡、グンゼといった食品包装用フィルムメーカーは原油やナフサの調達価格の上昇を理由に、値上げする方針を示している。商品の生産コストは今後も上昇が見込まれる。

 セブン―イレブン・ジャパンは北海道で商品の製造や配送を1日3回から同2回に変え、コストを抑える取り組みを始めた。阿久津社長は「原材料高騰や労務費上昇に対して、サプライチェーンやバリューチェーン全体でプロフィットプール(総利益)をどう作っていくのかが重要」と話す。ファミマは25年9月に北陸で弁当などを配送する便を同3便から同2便に変更した。燃料などの高騰に備え、この取り組みを広げることを検討する。

 百貨店においても、高島屋は緩衝材を石油由来の不織布やエアパッキンから紙に切り替える検討に入った。商品価格をさらに引き上げたりメーカーに原価低減を求めたりするだけでなく、さまざまな知恵を絞っている。

日刊工業新聞 2026年4月17日

出典:ニュースイッチ Newswitch by 日刊工業新聞社