イベント

倉敷美観地区に行ったら訪ねたい!大原孫三郎ゆかりの3つ
の施設

2026.06.26


倉敷美観地区には倉敷の発展に貢献した大原孫三郎ゆかりの施設が幾つかあります。その中から今回は近接する「大原美術館」、「児島虎次郎記念館」、「語らい座 大原本邸」の3つの施設を紹介します。

ライター:大岩主弥

掲載日:2026年6月2日

大原孫三郎と児島虎次郎について

大原孫三郎は1880年倉敷に生まれました。大原家はこの地屈指の地主であり、孫三郎の父孝四郎は1887年に倉敷紡績を立ち上げた実業家です。若き孫三郎は東京専門学校(現在の早稲田大学)に学びますが、学業よりも遊興に身を投じた生活を送っていたため倉敷に連れ戻されました。その後、林源十郎たちとの出会いもあり、自らの行いを悔い改め、孝四郎のあとを継いで実業のさらなる発展に尽くしました。また、石井十次との交わりから、石井が経営する岡山孤児院の支援をはじめ、「広く社会に意義あることを」と企業経営者として得た利益を還元すべく、様々な社会事業にも取り組みました。

そして画家児島虎次郎との出会いと友情が「大原美術館」の開館につながります。

児島虎次郎は、1881年現在の岡山県高梁市成羽に生まれました。1902年に東京美術学校西洋画科へ入学することとなった虎次郎は、孫三郎が孝四郎に進言し立ち上げた大原奨学会からの支援を得るために大原家を訪ねます。孫三郎は虎次郎の誠実な人柄に惚れ込み、奨学生となることを許し、以来2人は画家とパトロンという間柄を越え、生涯の親友としてともに歩みました。

奨学金を得た虎次郎は熱心に学び、1907年に東京府勧業博覧会の美術展に応募した『なさけの庭』が一等賞になり、宮内省買い上げという快挙を果たしました。『なさけの庭』は、石井十次の岡山孤児院を描いた絵画として貴重な作品でもあります。これを喜んだ孫三郎は、虎次郎にヨーロッパへの留学を勧め、虎次郎は1908年にフランスのパリへ渡ります。そこで画業の研鑽に励むと共に、西洋の優れた美術作品の収集と公開を孫三郎に提言。こうして、1930年に創設されたのが「大原美術館」です。

大原美術館|公式サイト

大原美術館本館

手前に見える今橋も薬師寺主計建築

JR倉敷駅から徒歩約15分。倉敷美観地区を歩いていると現れるギリシャ神殿のような建物。ここが日本初の西洋絵画中心の私立美術館「大原美術館」です。伝統的な木造建築が並ぶ町並みの中でひときわ目立ちます。建築設計を担当したのは薬師寺主計(やくしじ かずえ)。薬師寺は大原孫三郎が社長を務める倉敷絹織株式会社に入り、大原の片腕として同社や大原家が関係する数多くの建築物を手がけました。美術館が出来た当時は今以上に西洋建築が珍しい時代だったかと思います。ここに来れば異国の空気を感じられる場所だったのでしょうね。100年近い歴史を誇るこの建物自体も見ごたえがありますが、中に入るとエル・グレコの《受胎告知》やクロード・モネの《睡蓮》といった世界的に有名な作品をはじめ、学生時代に美術の教科書で見たことがある岸田劉生の《童女舞姿》なども見ることが出来ます。個人的にはマルク・シャガールが好きなので、見られるのがとても嬉しかったです。館内は写真撮影禁止ですので、自分の目で素晴らしい作品の数々をお楽しみください。

【大原美術館】
所在地:岡山県倉敷市中央1-1-15
TEL:086-422-0005
営業時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
※12~2月は15:00まで(最終入館14:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、年末、臨時休館あり
※8月は無休 ※元日は本館のみ開館
料金:大人2,000円、小・中・高校生(18歳未満)500円、小学生未満は無料
駐車場:周辺有料駐車場を利用

大原美術館|岡山観光WEB

大原美術館工芸・東洋館

ジヴェルニーから株分けされた睡蓮

西洋絵画が注目されがちな「大原美術館」ですが、大原孫三郎とその息子總一郎は日本民藝運動の支援者でもありました。この運動に関わりの深い作家、陶芸家の作品を展示する「陶器館」が1961年に開館。その後1963年に「棟方志功版画館」と「芹沢銈介染色館」が開設。さらに1970年には、東洋古美術のための「東洋館」ができ、現在は「工芸・東洋館」と総称されています。 建物に入ると床の踏み心地などとても不思議な雰囲気でした。「陶器館」だった部分は江戸時代の米蔵が用いられているそうです。木造建築だと思ったら、急に石造りの展示スペースになったりと、展示にあわせた建物になっているのが印象的で、展示だけでなく、建物の雰囲気も楽しめます。また庭にはモネの睡蓮の池があります。モネはフランス・パリ郊外の小村ジヴェルニーに日本風の池や太鼓橋を配した庭を作ったそうです。その庭の光景を元に描いたのが《睡蓮》と言われていて、実際に児島虎次郎が現地でモネ本人から購入したのが、今美術館で見られる作品。その縁から2000年にジヴェルニーから睡蓮が株分けされたそうで、その睡蓮がここで見られるという事です。ご縁の素晴らしさを感じるエピソードですね。この広場には休憩出来るベンチがあったり、ゆっくり過ごすことも出来ます。本館のチケットで入れますので、あわせてお楽しみください。

大原美術館ミュージアムショップ

「大原美術館」にはミュージアムショップが、館内店と本店と2ヶ所あります。クリアファイルやマスキングテープなど気軽に買えるお土産も沢山。旅の思い出にいかがでしょうか。私は今回、児島虎次郎の《和服を着たベルギーの少女》のクリアファイル(330円)を購入。色彩豊かで手元に置いておきたくなる絵でしたので。ミュージアムショップの営業時間は、本店10:00~17:15(12月~2月は10:00~16:00)。 ※館内店は美術館の開館時間と同じ。

ショップ利用案内|大原美術館公式サイト

大原美術館児島虎次郎記念館

「大原美術館」から北東約80メートル、徒歩約3分の場所にある「児島虎次郎記念館」。元は旧第一合同銀行倉敷支店で、1922年に建てられた倉敷初の本格的洋風建築です。設計者は「大原美術館」の本館と同じく薬師寺主計。2016年まで銀行として人々の暮らしを見守り愛されてきた建築です。建物自体も見ていて飽きないですね。

児島虎次郎は「日本で洋画を学ぶ人々のために実物の名画を」という思いで「大原美術館」の礎となるコレクションを収集。こちらの記念館では児島虎次郎の絵画は勿論、彼が収集したヨーロッパ文化の源泉ともいえる古代エジプト・西アジアの美術品が展示されています。銀行の建物だったということで、広々とした明るい空間で見られる展示品は新鮮な感じでした。こちらも本館で購入した入館チケットを持っていれば鑑賞できます。開館時間が本館とは違うのでご注意くださいね。

【児島虎次郎記念館】
所在地:岡山県倉敷市本町3-1
TEL:086-422-0005(大原美術館)
営業時間:10:00~16:00 ※12~2月は10:00~15:00 ※最終入館は閉館時間の30分前まで
休業日:月曜日(祝日の場合は開館)、年末、臨時休館あり
※8月は無休 ※元日は本館のみ開館
料金:大原美術館本館の入館券で観覧可能 ※大人 2,000円、小・中・高校生(18歳未満) 500円、小学生未満は無料
駐車場:周辺有料駐車場を利用

児島虎次郎記念館|岡山観光WEB

語らい座大原本邸

キューブツリー

ブックカフェにある本は実際に手に取って読むことが出来ます。

ふりそそぐ言葉

「大原美術館」から川を挟んで向かいにある「語らい座 大原本邸」。大原孫三郎をはじめとして大原家代々が暮らした家で国の重要文化財でもあります。入り口を入ってすぐのところにある「ふりそそぐ言葉」では大原家代々の生きた言葉を見ることが出来たり、「キューブツリー」では立体的に大原家の人物相関が知れたり、独創的な展示で大原家8代の歩みが見られます。邸内は表からは想像できない景色で、特に中で広い日本庭園が見られることに驚きました。是非一度訪れてほしい場所です。落ち着いた雰囲気の中で、大原家の所蔵品、美術品などの充実の展示品をご覧ください。

【語らい座大原本邸】
所在地:岡山県倉敷市中央1-2-1
TEL:086-434-6277(有隣会)
営業時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
休業日:月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
料金:大人500円、高校生以下400円、未就学児は無料
駐車場:周辺の有料駐車場を利用

語らい座 大原本邸(旧大原家住宅)|岡山観光WEB

雰囲気の異なる喫茶スペース

總一郎の書斎をイメージしたブックカフェ

歴代の当主が使っていた離れ座敷

大原美術館の隣の「喫茶エル・グレコ」

「語らい座 大原本邸」にはお茶が飲める場所が2ヶ所あります。まずは8代目總一郎の書斎をイメージしたブックカフェ。こちらでは地元の職人さんが焼いたカップでコーヒーをいただくことが出来ます。私も本を眺めながらホット珈琲&焼き菓子セット(800円)を。もう1ヶ所は歴代の当主がくつろぎの場所として使っていた離れ座敷。素晴らしい日本庭園を見ながらお抹茶&菓子セット(800円)がいただけます。今回は日本庭園でお茶はしませんでしたが、喧騒を離れた静かな空間では、賑やかな倉敷美観地区である事を忘れる時間を過ごすことが出来ました。

「大原美術館」の横には喫茶エル・グレコもあります。こちらも観光の王道コースですので是非。

まとめ

「語らい座 大原本邸」の「ふりそそぐ言葉」前で、受付の方が写真を撮ってくれました。1人観光でもこうして思い出写真を残せるのは良いですよね。倉敷美観地区にある3つの大原孫三郎ゆかりの場所。アートや歴史を感じながら、ゆっくりお楽しみください。

この記事を書いたライター

大岩主弥
岡山市生まれ。大学から東京へ。子どもの誕生を機に帰郷。現在2児の父。家族と過ごすうちに、何もないと思っていた故郷岡山の豊かさを知る。
気になる場所は電車とバスと自分の愛車(自転車)を使い、フットワーク軽く向かいます。歴史、映画、美味しいものなどなど。岡山の面白さを皆様と一緒に知る旅を。

このライターの記事をもっと見る

執筆者

岡山県観光連盟

岡山県の観光情報や人気スポットを発信しています