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陶芸職人の技、AIから学ぶ…名古屋工大・慶応大の試みか
ら見えてきた可能性

2026.06.22


名古屋工業大学と慶応義塾大学がロボットを介してAI(人工知能)に職人技を教え、初心者がAIから職人技を学ぶ試みを進めている。テーマは陶芸だ。人間は手の形が一人一人違うため、腕の動かし方や力加減などを身体に覚え込ませる必要がある。そこで手取り足取りの指導をロボットを介して行う。触力覚をデジタル化して提示する。映像を見せて動きを再現させるトレーニングよりも早く習得できる可能性が見えてきた。

「一度AIに落とし込めば、熟練者がいないときも遠隔でも職人技を教えられるはず。熟練者の教え方のうまさをAI化したい」と名古屋工大の田中由浩教授は説明する。そこで熟練者と初心者の動きを測って合成し、双腕ロボットで実行するシステムを構築した。初心者がロボットで粘土に触れると、熟練者が寄り添うように介入する。

二人で一つの身体を共有し、指の当て方や土の伸ばし方などの力触覚が共有される。触覚は指先の振動、力覚は腕に剪断力で提示する。慶大の朱宇凡大学院生は「左手と右手で等しく力をかけるべきところを、非対称に使っていたことに気がつくなど、デジタル化の利点がある」という。

このデータをAIに学習させる。熟練者の教え方をAIに落とし込み、初心者の指導に使う。このために熟練者が20人の初心者を指導しデータを集めた。実際に100回ほどろくろを回している。田中教授は「言葉にならない身体のデータを直接とる。希少価値が高い」と説明する。

このシステムは陶芸以外にも展開している。成果が上がっているのは内視鏡手術だ。鉗子(かんし)を使う手技は手取り足取り教えるのが難しい。ロボットを介して教えると、映像に熟練者の動きを重ねてなぞるトレーニングよりも早く習得できるという結果がでている。

陶芸もAI指導の効果が期待できる。陶芸教室などで遠隔で教えたり、複数人を同時並行で教えたりと選択肢が広がる。

日刊工業新聞 2026年05月18日

小寺貴之 Kodera Takayuki 編集局科学技術部 記者

ヘラ絞りや左官も候補になるのではないかと思います。人間の手の感覚をそのまま移し替えるのは難しく道具を使った仕事が向くそうです。道具ヘラ絞りは床に固定したロボット、左官はヒューマノイドやモバイルマニピュレーターで、それぞれ職人の全身動作を固定、移動ロボに移し替える題材になると思います。陶芸は手先の器用さが重要ですが、いまのところ粘土や摩擦に耐えるハンドがありません。全身動作ならヒューマノイドの用途開拓にも貢献できると思います。

出典:ニュースイッチ Newswitch by 日刊工業新聞社