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〝稼ぐ力〟が高い中小企業の特徴と成長に必要なこと
2026.07.24
AXで人手不足乗り越え
経済産業省・中小企業庁は「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」で、「経営環境の転換期において現状維持は最大のリスク」との強いメッセージを打ち出した。物価上昇や人手不足が進む中、長期的な戦略に基づき、リスクを取って事業や組織構造の組み替えに挑む必要があると訴えた。稼ぐ力にあたる「労働生産性」の高い中小企業の特徴を分析し、必要な取り組みを整理した。
労働生産性は、従業員1人当たりが生み出す付加価値額を示す指標。24年度の中小企業の労働生産性は665万円で、大企業の1935万円と比べて大きな差がある。また、中小企業の労働生産性は10年間ほぼ横ばいで業種により差がある。
人口減少により構造的な人手不足が進む中、限られた労働力で成長を続けるには、付加価値額を引き上げるのと同時に、従業員数や労働時間を指す「労働投入量」の最適化も進めることが不可欠だ。
付加価値額を増加させる取り組みとして最も重要なのが、成長投資だ。成長投資について、岡田直也調査室室長は「単なる設備更新ではなく、新事業や増産などに必要な投資を指す」と説明する。中小企業庁の調査では、設備の稼働率が高いほど付加価値額の増加率も大きいことがわかった。設備稼働率を上げ、投資効果を最大化するには「投資前に経営戦略の策定や業務プロセスの見直しを行うことが重要だ」(岡田室長)とする。
AI(人工知能)は省力化にとどまらず、事業構造そのものを転換する可能性を秘める。一方、成長に向けてAIを活用する中小企業は2割にとどまる。今回の白書では、中小企業は経営者がトップダウンで迅速に意思決定しやすく、AI変革(AX)の変容力が高いと分析。AXの加速で人手不足を乗り越え、大企業を追い抜くほどの成長を実現する好機だとした。
事業承継やM&A(合併・買収)にも付加価値額を高める効果がある。10年以内に事業承継を行った企業のうち、経営者が50代以下の企業は60代以上の企業に比べて付加価値額の増加率が高く、成長投資にも前向きな傾向が見られた。また、M&A成立後に経営統合プロセス(PMI)を実施した企業の9割が想定以上の効果を得られたと回答。買い手と売り手の経営、業務、意識統合が成功のカギを握りそうだ。
価格転嫁の実現や転嫁率の向上も付加価値額の増加に直結する。価格転嫁の実現には特定の顧客に過度に依存しないこと、製品ごとに原価を把握し、原価管理データを社内に広く浸透させることが有効だとした。
日刊工業新聞 2026年06月17日
出典:ニュースイッチ Newswitch by 日刊工業新聞社