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中小白書が示した「強い中小企業」への成長に向けた道筋

2026.07.24


成長・生産性向上で稼ぐ力強化

 賃上げへの対応や人手不足、インフレなど中小企業の経営環境はめまぐるしく変化している。足元では中東情勢の緊迫化による収益圧迫も懸念される。このような変化の大きい時代には、従来の手法にとらわれず、成長や変革を目指す経営に転換する必要がある。経済産業省・中小企業庁は「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」で、稼ぐ力強化に向けた取り組みと、経営者が持つべき経営リテラシーについて分析。「強い中小企業」への成長に向けた道筋を示した。(5回連載)

 日本の雇割を占める中小企業の賃上げは、日本経済の成長に向けて重要な意味を持つ。連合の集計によると、26年の春季労使交渉(春闘)の賃上げ率は5・02%、中小組合は4・70%。全体では25年を下回るが、高水準を維持している。

 日本商工会議所の調査では、中小企業の7割が4月に賃上げを実施済み、または26年度中に実施予定と回答。春闘による高い賃上げが中小にも波及していることがわかる。だが、そのうち6割を業績改善を伴わない「防衛的賃上げ」が占める。人材確保のために賃上げせざるを得ない企業が多いのが実情だ。

 中小企業の付加価値額に占める人件費の割合を示す「労働分配率」はすでに8割弱に達し、大企業の5割弱と比べて高い。賃上げ余力に乏しく、現状のままでは継続的な賃上げは難しい。中小企業庁は、賃上げ原資の確保には成長や生産性向上で稼ぐ力を高めることが重要だと指摘した。

 他方、10年代以降、産業界全体で人手不足が進む。特に建設業や運輸業・郵便業、情報通信業で不足感が強い。職種別に見ると中小企業は専門的・技術的職業従事者、サービス職業従事者などで不足率が高い。

 少子高齢化に伴い、今後も生産年齢人口は減少が見込まれる。経済成長と労働参加が停滞した場合、中小企業の雇用者数は40年に18年比で約16%低下すると推計される。中小の人手不足はより深刻化し、生活維持に必要な労働力を供給できなくなる恐れがある。

 労働生産性にも課題を抱える。大企業では上昇傾向だが、中小企業は横ばいが続く。日本全体では経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均を下回り、先進7カ国(G7)では最下位だ。

 岡田直也調査室室長は「経営環境が変化する中、今までのやり方を続けていくことは難しくなっている」と指摘する。変化に対応するには稼ぐ力の強化とともに、人手不足を克服し、労働供給力を維持、強化することが重要だとした。

日刊工業新聞 2026年06月16日

出典:ニュースイッチ Newswitch by 日刊工業新聞社