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「ノウハウない」「適任者いない」…中小企業に強い味方、
IT各社〝失敗しないDX〟提案

2023.12.14


 オフィスや工場の業務効率化、生産性向上を実現するためにデジタル変革(DX)活用を検討する中小企業は少なくない。だが「社内にノウハウがない」「適任者がいない」といった理由でDXに進めないケースは多い。デジタル化投資に予算をかけられない中小に対して、DXツール開発各社は低コストで導入できるツール、サービスの開発を加速。“失敗しないDX”の提案に力を入れている。(名古屋・鈴木俊彦)

 名古屋市港区のポートメッセなごやで10日まで開かれた日本最大級の異業種交流展示会「メッセナゴヤ2023」では「スマートオフィス」と題し、DX技術を集めた企画展が行われた。「DX導入のきっかけに」とする主催者企画に、DXツール開発各社が出展し、システムの実演などを通して業務の効率化を提案した。

 社内業務の中でも総務、経理、販売管理などのバックオフィス業務は、DX化の効果が表れやすい。中堅・中小企業を中心にバックオフィスDXを支援するアイルは、受注から購買、在庫管理までの販売管理システムの活用を提案した。

 DX化のメリットについて「限られた人材で業務を行う中小企業にとって、作業時間の短縮などの効率化効果は大きい」(川野智洋中部システムソリューション本部名古屋支店統括マネージャー)。さらに「在宅ワークも可能になる」(同)としており、デジタル化は柔軟な働き方の実現にも役立ちそうだ。

 10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)もDX化を促している。フィンテック(金融とITの融合)企業のLayerX(レイヤーエックス、東京都中央区)は、請求書処理や法<人カードなどの法人支出処理を一本化し、業務効率化と法令対応の両立につなげる。

 請求書処理に記載された取引先、金額、日付などを自動で読み取る「AI―OCR」が強みとする技術の一つ。画像データからテキストデータに変換する精度の高さが特徴で、仕訳、計算のミスなど請求書処理の課題を解決する。

 DXを推進する中で欠かせない対応として、情報セキュリティー対策がある。情報の漏えい、改ざんにつながれば、企業は大きな損失を被ることになるからだ。中部テレコミュニケーション(名古屋市中区)はDX促進にあたり、クラウド利用などでの通信環境を保護するセキュリティーサービスを提案。通信事業者ならではの通信品質をアピールした。

 DX化の効果を最大限に発揮するために、DXツール開発各社は「まず、どういった業務を効率化したいのかを明確にすること」と口をそろえる。具体的には「作業の頻度、時間が長い業務ほど効果的だ」という指摘もある。職場の課題を把握し、優先順位を決めて業務をデジタル化していくことがDX成功の第一歩といえそうだ。

日刊工業新聞 2023年11月14日

執筆者

日本情報マート

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