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「令和の列島改造」…民間企業の設備投資、2040年度に
200兆円へ課題はインフラ整備
2025.02.26
政府と経済界が一体となり異次元の国内投資に挑む。経団連は民間企業による設備投資を2030年度に135兆円、40年度に23年度比で約2倍の200兆円とする新たな目標を打ち出した。成長領域と位置付ける脱炭素や半導体、人工知能(AI)も重要だが、カギとなるのが地方への投資拡大だ。実現にはインフラ整備や規制緩和など、企業の投資を後押しする政策の実行が不可欠になる。(編集委員・政年佐貴恵)

名目設備投資
「これまで投資が少なかった地域ほど投資が拡大傾向にある。この流れを継続・強化することが『令和の日本列島改造』につながる」。財界関係者や経営者らと国内投資促進に向けた議論を進める会合で、石破茂首相は地方で見え始めた経済好循環の兆しに期待感を示した。「令和の列島改造」は24日の施政方針演説で示された石破首相が最重視する地方創生の象徴だ。
日本商工会議所が実施した地域経済をけん引する中堅・中小企業に対する調査によれば、今後5年程度で拠点の新設や拡張などを計画、検討している企業は約5割に上る。一方で課題となっているのがインフラ整備。日商の小林健会頭は同会合で「地方の中堅・中小は積極的な投資意欲を持っている。特に不足する産業用地確保など、企業立地に不可欠なインフラの整備、強靱(きょうじん)化にスピード感を持って取り組んでほしい」と政府に要望した。
産業用地不足は深刻だ。経済産業省によれば分譲可能な産業用地面積は1996年以降、右肩下がりで減少している。旺盛な投資意欲に対しタイムリーにインフラを確保できなければ、石破政権が掲げる「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の機会損失にもなりかねない。
経団連が示した国内設備投資目標の実現には、年率3%程度の名目国内総生産(GDP)の達成が必要だ。脱炭素では20兆円規模のグリーン・トランスフォーメーション(GX)経済移行債、半導体・AIでは10兆円の公的支援といった枠組みが整い始めている。地方の投資意欲をいかに日本経済の成長につなげるか。政策の具体化と実行力が期待される。
日刊工業新聞 2025年1月30日