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高市首相の旗印「責任ある積極財政」は規模ありき?、補正
予算の問題点
2026.01.23
AI・ロボ、民間投資引き出す
高市早苗首相は17日の臨時国会閉会を受けて会見し、19日に与党の2026年度税制改正大綱をまとめ、26日に26年度政府予算案を閣議決定する方針を明らかにした。また16日に成立した25年度の補正予算で、中小・小規模事業者の賃上げ環境を整備するため、1兆円規模の大胆な措置を講じたなどとし、「一日も早く施策の効果を実感していただけるよう、迅速な執行に努めていく」と述べた。
26年度予算では「AI(人工知能)・ロボティクスの汎用基盤モデルの開発に対する支援など、戦略分野に対する支援の深掘りを行う」ことで事業者の予見可能性を高め、民間投資を引き出す考えを表明。また、「新技術立国」を目指して「大学等における基礎研究基盤の強化のための措置を大幅に拡充する」方針も明らかにした。
一方では自身の旗印である「責任ある積極財政」について「規模ありきで、いたずらに歳出を拡張していくことを意味するものではない」と強調。新設の租税特別措置・補助金見直し担当室が中心となって「ムダをそぎ落とした筋肉質の財政支出を目指す」ことで財政の持続可能性を確保し、「国内外の市場の信認を高めていく」と述べた。
日刊工業新聞 2025年12月18日
志田義寧 Shida Yoshiyasu 北陸大学 教授
高市首相は会見で「規模ありきで、いたずらに歳出を拡張していくことを意味するものではない」と強調したが、今回の補正予算を見る限り、「規模ありき」と批判されても仕方がないだろう。景気が「緩やかに回復している」(11月の月例経済報告)と判断している中で、なぜ東日本大震災時を上回る補正予算が必要なのか。需給ギャップもほぼ均衡している。補正予算の中身を見ると、財政法第29条が補正予算の要件としている「緊要性」を満たしていない施策も目立つ。クマ対策などに充てられる予備費も問題だ。衆院予算委員会で立憲民主党の議員が「クマがどんだけ出るんだ」と批判していたが、すでにクマ対策費が計上されている中での追加支出には首をかしげざるを得ない。高市首相は「責任ある積極財政」のもと、プライマリーバランス(PB)黒字化の単年度目標を撤回し、数年単位で確認する意向を示した。世界に黒字化目標を諦めたと誤ったメッセージを送りかねず危険だ。将来世代にツケを回してはならない。
出典:ニュースイッチ Newswitch by 日刊工業新聞社