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コストカットから成長型へ、中小企業の経営で有効な取り組

2026.07.24


省力化投資・AI活用有効

 約30年続いたデフレからの脱却に向け、コストカット型から成長型の経営への移行が求められる。一方、構造的な人手不足が進む中、労働力に依存しない体制づくりも必要だ。経済産業省・中小企業庁は「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」で、従業員数に当たる「労働投入量」の最適化に向け、省力化投資やAI(人工知能)活用・デジタル化が有効とした。

 労働生産性は付加価値額を労働投入量で割って算出する。付加価値額が増加しても、それ以上に労働投入量が増えれば労働生産性は上がらない。労働生産性向上には、付加価値額の増加だけでなく労働投入量の最適化にも取り組む必要がある。

 同白書では15―24年の10年間の労働生産性の変化に着目し、付加価値額が増加した企業を分類。

 従業員数が増加しながら付加価値額の伸びが上回る「効率的成長型」、付加価値額は増加、従業員数は減少する「効率化型」のいずれかを目指すべきとした。特に労働供給制約下では、効率型を目指すことが人手不足に悩む中小企業にとって有効な一つの選択肢となる。

 他方、付加価値額が増加したものの、それ以上に従業員数が増加し、結果的に労働生産性が低下する「非効率的成長型」も存在する。省力化投資やAI活用・デジタル化に取り組んだ企業は、非効率的成長型から効率的成長型に移行する傾向が見られた。

 同白書によると、中小企業の3割がAIを活用している。特に定型業務の多いバックオフィス部門や、人手がかかる営業・販売・顧客対応部門で導入が進む。具体的な活用方法としては文章作成・要約・校正、業務自動化・効率化が多く挙げられた。

 光学機器の輸入販売を行うオプトサイエンス(東京都新宿区)は、技術解説文書作成のための海外論文やマニュアルの翻訳、要約にAIを導入。営業担当者の技術的知識を補完し、顧客への詳細な説明を可能とした。

 また建設機械や産業機械部品を手がける岡田研磨(金沢市)は自社の生産、労務、原価管理を一元管理するアプリケーションを生成AIを用いて独自に開発。業務効率化と従業員のパフォーマンス向上で労働時間削減と売上高増を実現している。

 中小企業にとってはデジタル人材の不足がAI活用のハードルとなり得る。また、全社的な業務課題の洗い出しが不十分なまま導入しても大きな効果は得にくい。

 経済産業省・中小企業庁の岡田直也調査室室長は「従業員への教育や部門間連携でデジタル活用の効果を上げることが必要だ」と説明。経営層やIT部門、事業部門の連携や、研修や勉強会によるリテラシー向上に取り組むことを求めた。

日刊工業新聞 2026年06月22日

出典:ニュースイッチ Newswitch by 日刊工業新聞社