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直接の影響は限定的だが…「トランプ関税」先行き不安、経
産省が対策本部会合

2025.04.29


追加分コスト負担焦点 実態に即した形で対策

 経済産業省は21日、米国関税対策本部の会合を開き、米国の関税措置に関する現時点での企業への影響をとりまとめた。直接的な影響は限定的である一方、先行きへの不安が大きくなっていると総括。特に自動車など米国への輸出品を扱うメーカーは追加関税分のコスト負担が焦点になっているほか、サプライヤーからは今後の減産などへの懸念が寄せらている。武藤容治経済産業相は同省幹部に「実態に即した形で、追加の対策をまとめてほしい」と呼びかけた。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)などの窓口に18日までに寄せられた約2000件の相談内容や、政務や事務方の企業訪問で得た情報を集約した。米国に製品を輸出するメーカーの間で関税負担への対応が喫緊の課題となり、サプライヤーからは供給網への影響波及を懸念する声が多数寄せられたという。中小企業からは第三国を含む関税率や支援策などの情報提供に加え、資金繰り支援などの要望があった。

 自動車などの消費者向け製品は競合他社も多いため値上げが難しく、値上げした場合は売上高減少のリスクが懸念される。一方、事業者向けは特殊性など製品により値上げ交渉の余地があるものの、市場環境次第で販売減などのリスクがあると分析。経産省の担当者は「消費者向けと事業者向けでは温度差があるようだ」とした。

 また、政府系金融機関による関税対策向けの貸し付けは「現時点で申し込みはほとんどない」(同担当者)としながらも先行きに不透明感が強まる中、手元資金確保のニーズが高まっているとした。 足元では与党などから、国内の対策強化を求める声が強まっている。自民党は同日、緊急提言の案をまとめ、政府に自動車の需要対策や中小向け制度融資の拡充などを求める方針が明らかになった。武藤経産相は「議論が進んでいると承知している」とした上で、引き続き実態把握に注力しつつ「先手を打って対応策を講じていく」と強調した。

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日刊工業新聞 2025年4月22日