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伝わりにくい「窒化処理」のファンを着実に増やす、ブラン
ド戦略と地域連携

2023.11.27


 建設機械部品などの表面処理を行う極東窒化研究所(神奈川県秦野市)。近年、アウトドアブランドや愛好家からの窒化処理の依頼が増加している。電気炉にアンモニアガスを充填し加熱することで、鋼の表面に窒素を侵入させ硬質層を形成。耐久性が向上する。また独特のマットな質感になることも、人気の理由だ。

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【使ってもらえれば良さが伝わる】
 同社は自社製品を2021年より販売している。同年11月にはアウトドア用カップ「Chicca(チッカ)シェラカップ」を発売。ステンレスカップに窒化処理し耐久性を高め、さびにくく、焦げ付きを容易に洗い落とせる。消費税込みの価格は3000円。自社電子商取引(EC)サイトで販売する。
 「窒化処理の説明は難しいが、一度使ってもらえれば良さが伝わる」―。同社の武田康秀社長は20年に自社製品開発プロジェクトを立ち上げた。アウトドアブームの中、使い捨てされやすいキャンプ用焼き網に着目。窒化処理で焦げ付きにくく、耐久性を高めた「chicca mesh(チッカメッシュ)」を21年1月に発売した。好評だったことから、鉄製フライパンなど製品を展開していった。製品の知名度向上とともにアウトドア業界に窒化技術が広まり、加工受託も増加した。最近では調理器具、インテリア製品などに広がりをみせている。

工場には大型の電気炉が並ぶ

 その傍らで自社製品開発も積極的に続け、22年7月には窒化処理後に黒染め加工などを施した鉄製の皿「Chicca side plate(チッカサイドプレート)」を発売。SNSを通じて製品を知った人が販売イベントに足を運び購入し、その良さをさらにSNSで拡散するなど、着実にブランドのファンを増やしている。

【地域企業連携で製品開発】
 同社は表面処理の専業で、製品本体の加工は協力会社に依頼している。シェラカップ本体は磯崎絞製作所(神奈川県伊勢原市)がヘラ絞り加工で作製するなど、地元企業とのつながりを重視する。「地域に根ざしたモノづくりがブランドの特徴」と武田社長は強調する。
 23年11月には地域企業を中心に集まった「plodigtプロジェクト」で開発を進めてきた「魔法の窒化フライパン」を発売する。プロダクトデザインをC-OILING(長野県佐久市)、板金を五洋工業(神奈川県秦野市)、ヘラ絞り加工を磯崎絞製作所、持ち手部分の木工を武周木工(神奈川県小田原市)、窒化処理を極東窒化研究所がそれぞれ担当した。

持ち手にはプロジェクト名を刻印

 売り上げに占めるBツーC(対消費者)製品の割合は約5~10%だが、「現状手が回っていない案件もあり、拡大する見通し」と武田社長は話す。プロジェクト開始当初は社長1名だったメンバーも4名に増え、事業を強化していく構えだ。
 また、秦野駅近くの川沿いに直営店を開店する。製品を実際に購入するだけでなく、ブランドコンセプトを感じられる店を目指し、年内オープンを見据えて準備を進めている。自社製品、受託製品や店を通じ、窒化処理の魅力を多くの人に広げるべく挑戦を続けていく。

商品情報

シリーズ名:窒化シリーズ 商品名:魔法の窒化フライパン
 用途:鉄製・窒化フライパン
 サイズ(mm):22cm、26cm
 価格(税込):22cm 14,080円、26cm 16,280円 (税込)
 販売サイト:https://chicca-online.com/

企業紹介

(株)極東窒化研究所 KYOKUTO NITRIDING Co.,LTD.
所在:〒259-1303 神奈川県秦野市三屋42
従業員数:17名
事業内容:ガス窒化処理、焼鈍処理

FACTORY’S GOODs 詳細情報

ポップアップショップ @銀座 蔦屋書店
会期:2023年 11月3日(金・祝)〜4日(土)12:00~20:00(最終日は19:00)
会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM (東京都中央区銀座6丁目10−1 GINZA SIX 6F)
https://store.tsite.jp/ginza/
入場登録:不要
入場料:無料

店頭タイアップによるフェア @銀座 蔦屋書店
会期:2023年10月21日(土)~11月5日(日) 10:30~21:00
会場:銀座 蔦屋書店 (東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F)EATALY側展示台
https://store.tsite.jp/ginza/

技術展示&ポップアップショップ @東京ビッグサイト
会期:2023年 11月29日(水)〜12月1日(金)10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト 西2ホール (G-01)(東京都江東区有明3-11-1)
入場登録:要(詳細は https://autumnfair.nikkan.co.jp/参照)
入場料:1,000円(入場登録者、招待状持参者、中学生以下無料)

特設Webサイト:https://biz.nikkan.co.jp/brand/factorysgoods/

展示会スポンサー

株式会社ソディック

株式会社青山財産ネットワークス

日進工具株式会社

牧野フライス精機株式会社

碌々スマートテクノロジー株式会社

一般社団法人日本工作機械工業会

株式会社アマダ

モノづくり日本会議

執筆者

日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。