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国の補助金追い風に…YKK APが「住宅内窓」生産1.
5倍

2024.01.18


 YKK APは住宅用内窓の日産能力を従来比約1・5倍に引き上げる。栃木工場(栃木県那須塩原市)、兵庫工場(兵庫県加東市)、九州製造所(熊本県八代市)に生産ラインを追加し、内窓の生産能力を1日当たり約3000窓から4000―4500窓程度にする。2024年度補正予算案の住宅窓リフォーム補助事業により見込まれる需要の拡大に対応するため。栃木工場の建屋の改装も含め、総投資額は約20億円。

 既存の窓の内側に取り付ける樹脂製の内窓を製造する。順次設備を導入し、受注の高まりが予想される2―4月に向けて生産体制を整える。また、内窓や新築住宅向けの高機能樹脂窓に使われる複層ガラスの生産設備の増強も行う。工場の人員は23年中に新規採用を増やした。

 内窓は取り付けることで断熱性能や防音性能が高まり、窓を交換するタイプに比べて施工時間が短く安価で済む。23年度に実施された「住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等」(予算は計1000億円)でも最も受注があった。同事業の後継事業として、24年度には「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」(同1350億円)の実施が予定される。

 YKK APは23年初頭に内窓の生産能力を従来比2―3倍に引き上げたが、受注が生産能力を上回り納期遅延が発生していた。補助事業は今後数年継続が見込まれているが、魚津彰社長は「26年度ごろの事業終了に伴い改修は1年ほど苦しむだろう」と予測する。しかし、窓の断熱改修が一般に浸透することで、長期的には再度需要は安定するとみる。

日刊工業新聞 2023年12月22日

執筆者

日本情報マート

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