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半導体・電子材料で「脱炭素」「DX」進化、レゾナックが
鮮明にする姿勢
2024.02.27
レゾナックがカーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)やデジタル変革(DX)の取り組みを活発化している。統合した旧昭和電工と旧日立化成の融合だけでなく、さまざまな共創を生かしつつ、強みの半導体・電子材料に関わる脱炭素対応やDXを進化。新たな価値創造を生み出す姿勢をより鮮明にする。(山岸渉)
「カーボンニュートラルは短期的にも長期的にも、大きな経営課題として取り組んでいる」。レゾナック・ホールディングス研究開発企画部の斉藤康夫スタッフマネージャーはこう力を込める。
レゾナックが化学の力での実現に向け重きを置くのが、カーボンニュートラルとDXだ。脱炭素関連では、川崎事業所(川崎市川崎区)で廃プラスチックから水素やアンモニアを作るケミカルリサイクル(CR)や、日本製鉄などと連携し工場排ガスに含まれる低濃度二酸化炭素(CO2)を分離回収する技術開発などを進める。
脱炭素に向けては、半導体・電子材料技術も生かせるとみる。電気自動車(EV)シフトが進む中で、性能に関わるパワーモジュールへの開発支援はその一例だ。
レゾナックは小山事業所(栃木県小山市)内にパワーモジュール材料を評価・開発する拠点「パワーモジュールインテグレーションセンター」を設置。高耐熱コーティング材料や高放熱冷却器といった関連材料を生かし、顧客に最適な材料を提案している。
顧客とともに試作や評価、検証などを実施することで、開発の効率化に貢献。提案には半導体パッケージ技術開発のコンソーシアム「ジョイント2」など、社内外連携の知見も生かす考えだ。
一方、DXの推進も目立つ。レゾナックの“頭脳”の一つで、高度な計算技術を手がける「計算情報科学研究センター」では、専任チームがディープラーニング技術と画像解析技術を活用。一部製品の検査の自動化を実現し、検査時間の大幅な削減につなげた。
半導体材料の開発では、分子レベルの世界を3次元(3D)で表示する仮想現実(VR)技術の活用も成果を上げている。分子の動きを視覚で捉えることにより、技術者間でさまざまな情報共有をしやすくなったという。教育用途にも使えると見ており、今後の展開も視野に入る。
レゾナックは発足2年目を迎え、半導体・電子材料を中心とした技術開発力や、研究開発を含めた共創をもう一段加速する考えを打ち出す。強みを生かすことで脱炭素やDXの取り組みを進化させ、新たな付加価値の創出につなげる構えだ。
日刊工業新聞 2024年02月09日