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年1300時間圧縮、アイホーが実現したDXで生産性改善
の中身

2024.02.27


 アイホー(愛知県豊川市、寺部良洋社長)は、本社工場でデジタル変革(DX)による生産性改善に着手し、年間1300時間分の作業の効率化を実現した。主力の業務用炊飯機器などの加工工程で使う図面をデータ化するとともに、専用アプリケーションも開発。作業者が従来、紙で確認していた図面をパソコンで確認できるようした。今後、DXの取り組みを組み立て工程でも展開する。

 アイホーは2023年春に「DX推進課」を設置し、全社でDXを促す体制を整えた。これまで技術部門を中心に既存資料のデータ化に取り組んできたが、生産現場での導入も検討し始めた。

 同社が生産する業務用炊飯機器や洗浄機器は設置スペースが100平方メートルを超えるものもあり、部品点数も多い。現場に保存した標準仕様の部品図面は7万点以上で、特別仕様は10万点以上になる。

 従来は発注があると、作業者が紙の図面を保管棚まで取りに行っていた。作業終了後に図面を戻し、仕様変更がある場合も図面の差し替えは棚まで往復していた。

 今回、まず標準仕様7万点をデータ化。そして作業現場で作業カード(指示書)をスキャナーで読み込むとパソコンに図面を表示するシステム「ずめんナビ」を完成し機械加工、板金加工工程に40台配置した。図面の準備、保管などに要していた年間1300時間を他の作業に振り分けることが可能になった。

 また、使用する図面を棚から出す際に異なる図面を取り出すミスがなくなり、パソコン画面での拡大により詳細部分も確認できるようになった。さらに図面保管場所が約200平方メートルあったが、治具や仕掛品の保管場所として活用できるようになったという。

 生産効率化の効果として年間1000万円以上と試算しており、同社は今後、特殊部品や手順書もデータ化するとともに、組み立て工程でもDXによる作業効率の向上を図る。

日刊工業新聞 2024年2月20日

執筆者

日本情報マート

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